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プロの書き師・朝井リョウがkemioを絶賛!歴史を塗り替えた日本語とは?

2020.01.09

kemio不定期連載『ハウス オブ ハイビスカス』では、kemioが会ってみたい人、化学反応が面白そうな人とガンガン、セッションしていきます! 今回は、自身のラジオ番組やインタビューでもkemioのファンだと語る、作家の朝井リョウさんをゲストに街ブラ! テキトーに喋りながら、ただ歩くだけのあげ散歩に付き合ってくれました!

HOUSE OF HIBISCUSって一体なんなのさ?

『家族』とか『仲間』的な意味で、友達とテキトーに作った言葉。何がいいかなーって考えてた時、目の前にハイビスカスが咲いてたの。ハイビスカスって可愛いでしょ?

あげ散歩に、“情報の万引きマスター”現る……!!

中目黒周辺を作家の朝井リョウさんとお散歩。日本文学界きっての逸材とおしゃべりギャル。果たしてどんな会話が繰り広げられるのでしょう。あげ散歩、ゆる~くスタートです。

kemio(以下k)朝井リョウさん〜! ハウス オブ ハイビスカス『あげ散歩』へようこそー!

朝井リョウ(以下朝)ハウス オブ ハイビスカスに出られるなんて、光栄です! 初対面でいきなり失礼かもしれないですが、私、kemioさんと私の喋り方が似てるって、結構色んな人に言われるんです。

わかります!! 僕も朝井さんのラジオを聞いて、早口で似てるって思ってました。朝井さんの会話のテンポとか情報量、本当に尊敬です!

早口もそうなんですけど、初対面の人に対して、敬語で遠慮しつつもたくさん喋っちゃうところも似てるなって思ってたんです。

分かります。喋りまくっちゃいますよね! 朝井さんって、普段もこーやって雑誌に出られるんですか?

新作を上梓したときのインタビューか、このような対談などでお声掛けいただくときくらいですね。そういえばViViってこの前、テラハの記事出していましたよね。テラハ大好きで1stシーズンから7年間観続けてるんです。

僕テラハまだ観てないんですよー。でも海外で本当に人気ですよ! 東京出身って言うと、第一声で「テラスハウス!」って言われますもん(笑)。

本当にそういう感じなんですね。私はテラハの本質を布教したくて、資料を作ってラジオで30分間講義したこともあるんです。見所は恋愛模様じゃない!

ホンモノですね。朝井さんって、僕のYouTubeもそうだし、テラハもかなり掘ってるし、本当に色んな情報持ってますよね! プロの書き師であり、掘り師でもあり、あれもこれもポイポイ頭に入れちゃってる……こんなこと言ったらアレですけど……情報の万引きマスターですね!

あはは。これから情報万引きマスターって名乗ります。

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本離れしても、人は“言葉”からは離れていない。(朝井)

多くの国民の皆様と同様に、私もkemioさんのことはVineで人気が出た時に初めて知りました。その後、渡米されてYouTubeを始められてからは、さらにたくさん動画もチェックするようになりました。

嬉しいです〜! ラジオでもおっしゃってくれてましたもんね。僕の友達を見つけてそのままついて行ったら女性専用車両だったって話。超笑いました!

あの時は本当に焦りました。あと最近、私の世代も含めて、本離れしているのは感じるのですが、kemioさんの動画を見ていると、本を読まなくなっても、みんな決して“言葉”からは離れていないんじゃないか、言葉そのものは好きなんじゃないかって思うんです。kemioさんにファンが多いのは、その表れのような気がしています。映画みたいな、凝った動画を作っているわけではないじゃないですか。それなのに視聴者はどうしてアクセスするのか。おそらく言葉を浴びに行っているんだと思うんです。

単行本からは離れていても、歌の歌詞や広告のコピーに注目したり、喋りが上手い人の話は聞きたくなったり、若い人たちも言葉自体は好きなのかなって。kemioさんがそれを証明してくれている気がする。kemioさんの動画を見ると、私も諦めずに書きたいことを書いていこう!と思えるので、本当に……ナマステ〜!って感じです。

ナマステ〜! 言葉を浴びるなんて美しい表現、初めて言われました! 耳が浄化されました。

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“カーソル燃える勢い”という表現が日本語の歴史を塗り替えた。(朝井)

プロの書き師である朝井リョウさんが感じる、kemio発の新しい日本語の表現方法とは?

私が小説を書く時によく思うのは、人間にとって全く新しい発見を書いているというより、生きること死ぬこと、愛情や友情など、昔から散々扱われてきたテーマを今の言葉やアイテムを使って、改めて書き直しているということ。もちろん中には新しい発見を書く方もいますが、私の場合は前者。kemioさんの本を読んだ時に、その最高峰だと思ったんです。今の時代の言葉で伝え直す力がすごい!

そんな、そんな! 『かいけつゾロリ』卒の者が書いた本を読んでいただけるだけでありがたいのに、もったいなきお言葉です。ありがとうございます。

kemioさんの著書『ウチら棺桶まで永遠のランウェイ』で一番印象に残っているのは、携帯をまだ持たせてもらえなかった中学時代のエピソードにある表現。PSPから必死にネットに繋いで情報収集していたという一節の中で、“カーソル燃える勢い”っていう表現を使われていたんですね。「カーソル」と「燃える」って多分、日本語史上初めての組み合わせだと思います。

調べることに夢中で、コントローラーのカーソルも画面上のカーソルも操作の摩擦で火がついてしまいそうだった――という意味で、この表現に繋がったと思うんですが、その一言で、どれだけ前のめりに情報を得ようとしていたかという、気持ちの部分までしっかり伝わるじゃないですか。そういう、とても思いつかないような、初めての言葉の組み合わせがたくさん出てきてびっくりしたんです。この話は作家の綿矢りささんともしました。

書き師のプロの方達に、そんなこと言ってもらえるなんて感動。あの本を書き上げたときに、自分ってすっげー頭悪いと思ったんです。文章の表現については友達にもたくさん相談したし。だからそんな風に言ってもらえると、本当に嬉しいです。朝井さん、ラブです〜! ラブラブラブラブ〜!

あの本は新しい言葉の組み合わせの宝庫! スワイプして消すよもそうですけど、kemioさんは今、時代を象徴する言葉を最も軽やかに扱う表現者だと思います。そしてまた10年後には、我々が全く思いつかない言葉を操る人が出てきたりするんだろうなと思うんです。

【Ryo】シャツ¥1850、パンツ¥27500/roundabout その他/スタイリスト私物、【kemio】ニット ¥35000、パンツ ¥38000、シューズ ¥59000/Acne Studios Aoyama (Acne Studios)

PROFILE
kemio/1995年生まれ。東京都出身。YouTubeやSNSなどで発信するクリエイター。2016年より拠点をアメリカに移し活動。最近ルームメイトのマイルズと共にLAからNYへ引っ越したばかり。最近覚えた言葉は『造詣が深い』。LINEスタンプも好評発売中。
朝井リョウ/1989年生まれ、岐阜県出身。小説家。早稲田大学在学中の2009年に「桐島、部活やめるってよ」で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。2013年「何者」で直木賞を、2014年「世界地図の下書き」で坪田譲治文学賞を受賞。最新刊は「どうしても生きてる」。もともとハロプロが好きだが、TWICEやX1などK-POPも勉強中。

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Photo:Kodai Ikemitsu(TRON) Styling:Sora Murai Hair & Make-up:Itatsu Model:Ryo Asai,kemio Composition&Text:Yumiko Ito