kemio不定期連載『ハウス オブ ハイビスカス』では、kemioが会ってみたい人、化学反応が面白そうな人とガンガン、セッションしていきます! 今回は、自身のラジオ番組やインタビューでもkemioのファンだと語る、作家の朝井リョウさんをゲストに街ブラ! テキトーに喋りながら、ただ歩くだけのあげ散歩に付き合ってくれました!

HOUSE OF HIBISCUSって一体なんなのさ?
『家族』とか『仲間』的な意味で、友達とテキトーに作った言葉。何がいいかなーって考えてた時、目の前にハイビスカスが咲いてたの。ハイビスカスって可愛いでしょ?
2人の「好きな街」について
この秋、3年間住んだLAからNYへ拠点を移したkemio。あげ散歩中、話題は引っ越しやお互いの好きな街に。
朝井リョウ(以下朝):そういえば、どうしてニューヨークに引っ越したんですか?
kemio(以下k):僕、東京で生まれ育って、大きいビルに囲まれて大勢の人と一緒によーいドン!みたいな生活に慣れていたので、正直、ロスが合わなかったんですよ。自然に帰ろう♡みたいな雰囲気が最初は良かったんですが、いつしか毎日が同じに見えてきちゃって。車移動だからあんまり人も歩いてないし、天気も一年中ずっと晴れで、気温も同じような感じ。だからおしゃれも限られてくるし、人と会うことも減っちゃって。ニューヨークみたいに、すごい選手たちがボコり合いの戦いに来る活気溢れる都会が恋しくなっちゃったんです。
朝:確かに、ロスとは街の雰囲気は全然違いますよね。
k:僕は大きな交差点をブーツ履いて、刺すように歩きたいんです! それに憧れて引っ越しました!
朝:すっごく分かります。私も同じで、人より先に街がある場所が好きなんです。実家が岐阜の郡部なんですが、市とかじゃなくて、郡! 何代も人が住み続けているので、街を街たらしめている店や駅よりも人が先にある感覚なんです。私にとっては、その逃げ場がない雰囲気がきつかった。進学して上京したとき、「あ、ここは先に街がある。すでにある街に、人が出入りしてる」って気づいたんです。そういう意味では、私も都会の方が好き。
k:新しい表現ですね! 人より先に街があるって。でも本当に僕も同意です。ちょっと冷たいって言われますけどね。もちろん人もラブなんですけど、街のバイブスが高い方が良くて。

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朝:私は日本の都会レベルで満足したクチですけど、kemioさんはそれでも足りないくらいですもんね。
k:はい、そうですね。街で感電したいレベルです。日本の好きな街を挙げるとしたらどこですか?
朝:大学時代住んでいたので、愛憎入り混じるって意味で早稲田ですかね。大っ嫌いで大好きな街です。性欲が見えるんですよ、煙になって。
k:性欲がけむりに……。
朝:今度行ってみてください、高田馬場駅前のターミナル。大学生が夜中に酔っぱらって肩組んで早稲田の校歌を歌ったりしてる場所です。日本で一番嫌われてる場所なんですけど、なんかちょっとキュンとくるんです。
学生時代特有の万能感ってあるじゃないですか。早稲田って、人生最後の万能感が服を着て歩いてるような街なんですよ。その感覚を表現できる健やかさが愛おしく見えてくるんですね。この4年間だけは、駅で校歌を熱唱するくらい客観性を失ってみたいよね、みたいな。自分もそうだったし、その時間があることを愛おしく思いましょう! アーメン! ……というのが早稲田という街です。だから本当に好きと嫌いが入り混じっています。決してただ好きなだけではないです!

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k:早稲田大学かぁ。そもそも僕とは頭のつくりが違うんだろうなぁ。僕の好きな街は、やっぱり渋谷と原宿。人生で一番通っているので! 地元が町田なんですけど、僕も地元から超出たかったんです。町田って109もタワレコもあるし、マルイもあるので、良くも悪くもそこで完結しちゃうんです。10代の頃それがすごく嫌で、絶対ここだけに留まりたくない!と思って、渋谷や原宿に通い始めたので、その思い出もあるんです。
朝:めちゃくちゃ羨ましいです、10代の時に自分を受け入れてくれる街があったって。電車で移動できる範囲に、たとえば好きな服を着て堂々と歩けたり、自分の好きなものを他の人も好きと言ってくれる居場所があるって、すごく救いですよ!
k:快速乗って40分の渋谷が、僕の青春でした。ちなみに、「どこまでいっても渋谷は日本の東京」って歌まで作ったんですけど、渋谷区からは1回もコンタクト来てないです。

【Ryo】シャツ¥1850、パンツ¥27500/roundabout その他/スタイリスト私物、【kemio】ニット ¥35000、パンツ ¥38000、シューズ ¥59000/Acne Studios Aoyama (Acne Studios)
♥おまけ♥

Photo:Kodai Ikemitsu(TRON) Styling:Sora Murai Hair & Make-up:Itatsu Model:Ryo Asai,kemio Composition&Text:Yumiko Ito