【第6話】恋チケは、まだ有効ですか?『うみんちゅとデコネイル』

2020.08.08

ナツキが参加した『恋する❤︎週末ホームステイ』の話を、仕事中にビールを飲みながら聞くバイト先のオーナー。「これから新しいバイトの人が来るのに大丈夫ですか?」と言うと、「大丈夫だよ。新しいバイトって言っても俺の甥っ子だからね」と言う。そしてよくよく話を聞くとその甥っ子はナツキが『恋ステ』で気になっていた男子メンバー・レンだということが判明。それを聞いて驚くナツキ。そこにレンが現れて……。『うみんちゅとデコネイル』マイクロコンテンツ最終話をお届けします
※「AbemaTV『恋する❤︎週末ホームステイ』 短編ノベル・イラストコンテスト」受賞作品です。

だって、私の知ってるレンじゃなかったんだもん。

まずオシャレ。オシャレが過ぎる。
今年流行りのアッシュブルーのシンプルなサマーニット。
インした白いTシャツをちらっと見せるなんてコワザを使うなんて……こいつ、やりおる。

そして、レンってこんなに足が長かったんだっけ? と再任認識させる黒いスキニーパンツ。
そう言えば猫背だっただけで、こんなふうに背筋を伸ばすと身長も高いんだ。
ずんぐりだと思ってたけど、あれは寒くて着ぶくれしてただけだったんだ。
でも、痩せてるとかじゃなくて……割と筋肉質っていうか、マッチョっていうか。

そっか。レンって元から素材が良かったのか。
シンプルイズベストっていうけど……素材が良くなければシンプルもベストにならない。

そして素材がもっとも左右される、顔。
ぐるぐる眼鏡はどうした?
そして眼鏡の下はそんな切れ長の二重があったのかよ。
ぼさぼさの切りっぱなしの髪はどうした?
なんで少し明るめにカラーリングされてんのよ。

しかも……髪が短めにカットされてるから……
イケてるメンズの顔面がこれでもかってくらい、さらされてるんだけど……。

つうか……レンって、こんなにイケメンだったの?

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「……誰って。いきなりそれかよ。おまえが言ったんだろ、もう少し外見に気を使えって」
ぶっきらぼうに返してくるレン。
でもその顔は少しだけ、赤くなってる。

「言ったけど……まさかこんなビフォーアフター決めてくるとは思ってなかったし」
「これでも、雑誌読んだり、美容院行ったり……色々勉強したんだからな」

「……ねね、ナツキちゃん。実はね、赤ミーバイってレンの大好物なんだよ」
そっとオーナーは私の耳元に囁く。
うるさい、オーナー。
あとでお説教させてください。あと感謝も。

でも、そっか。
なるほど、今わかった。
……レンもレンなりに、駆け引きをしてたんだ。
そして、私の言葉を真に受けて、全身改造しちゃうくらい……私のこと好き、なのか。

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――…うん。決めた。今夜、ネイルをしよう。
今日のネイル以上にデコデコのキラキラに。
沖縄の魚に負けないくらい、赤ミーバイに負けないくらい、派手なネイルに。
そして明日、渡せなかった恋チケットをレンに渡すんだ。
うん、それって最高のタイミングじゃない?

そう決心したのに。
レンは唐突に恋チケットを差し出した。
「……これ、まだ有効だろ?」

えっ?
ここですぐそれ出してくる?
今は感動の再会の場面だよ?
もう少しやりとりしてから、もったいぶって出すものでしょ?
……まったく、これだから、陰キャって。
本当に空気が読めないんだから。

って、やめやめ。やーめた!

駆け引きなんて向いてないや。
私も、レンも。
でもお似合いで良いじゃないか。
だから本気の、素直な気持ちをだそう。
うん、そう思える今が一番良いタイミングに決まってる。

私は返事の代わりに、差し出されたチケットごとおもいっきりレンに抱きついた。

次回は松藤かるりさんの作品『恋がわたしを変える、週末にわたしは変わる』を配信します。お楽しみに!

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作者:イトウアユム